フィリップ・ガルシア氏とのインタビュー

President,
Lt. Alexander Nininger Los Angeles Chapter, 
Philippine scouts Living History Company
Philippine Scouts Heritage Society


フィリピン・スカウトは、アメリカ正規軍の一部で、アメリカ兵と共にフィリピン防衛の為に果敢に戦いました。バターンでの降服の後、彼らは「バターン死の行進」を歩かされ、その後オドネル収容所に収容されました。オドネル収容所では、27,500人あまりのアメリカ兵・フィリピン兵捕虜が死亡しました。死の行進とオドネル収容所を生き抜いたスカウトの多くは、その後ゲリラ兵となり日本軍と戦い続けました。

捕虜で『O’Donnell: Andersonville of the Pacific 著者であるジョン・オルソン米陸軍退役大佐は、フィリピン・スカウトについて次のように語っています。

フィリピン国外では殆ど知られず、そして彼らが誇りを持って所属した米陸軍からもおおかた忘れられているが、スカウトは卓越した兵士たちであった。

フィリピン・スカウト歴史協会(PSHS)の使命は、フィリピン・スカウトの歴史と伝統と遺産を、現代と将来の世代のために保存することです。ガルシア氏は、そのロサンゼルス支部の支部長で、またスカウトが戦った戦闘を再現する Philippine scouts Living History Company の代表を務めています。
 



Philip Garcia, Ramil Oteyza, Gil Mislang, Mark Lawrence, Donald Plata

13分のプレゼンテーション・ビデオ
 

どのような経緯でフィリピン・スカウト歴史協会の活動に参加することになったのですか。

私たちは2006年に、南カリフォルニアで開かれる幾つかの退役軍人のイベントや戦闘再現行事でフィリピン・スカウトを演じ始めました。そして2007年にワシントン州タコマ市で開かれたフィリピン・スカウト歴史協会総会に初めて参加し、軍旗衛兵の役を務めました。私たちのメンバーの一人Gil Mislang が、協会に入会することを提案しました。その後、活動が途絶えていたフィリピン・スカウト歴史協会 Lt. Alexander Nininger ロサンゼルス支部を、私たちが復活させることを決め、その後ずっと活動してきたところです。

*  Alexander Nininger 中尉は議会栄誉賞を受けた三人のスカウトの一人です。
詳細は
  More about PS Medal of Honor recipients. 

ご親族の中にスカウトだった方がいらっしゃるのですか。

残念ながらいません。でも、亡くなった叔父、Benjamin Molina 准将は当時武器将校で、スカウトが所属した米極東軍の一部であったフィリピン軍と共に、バターンで戦いました。

Philippine Scouts Living History Company について説明して頂けますか。

ロサンゼルス支部で行っている歴史再現活動に、私たちた付けた名前です。私たちの支部がユニークなのは、私たちが、彼らが身に付けた軍服や使用した戦争機材、当時の振る舞いや生活様式を使って、フィリピン・スカウトを装い当時を再現することです。

私たちの支部は、会計と行事担当でスカウトの子孫 Gil Mislang、庶務担当 Frank Lopez, 歴史リサーチ担当 Victor Verano、そしてPSHSの全国代表で私たち支部の名前になっている Alexander Nininger 中尉の甥 Sen. John Patterson が、アドバイザーです。

それから、5人のフィリピン・スカウト第二次大戦ベテランが、私たちのアドバイザーです。彼らは Edwin Ramsey 大佐, Isabelo Torio 医師, Antonio Ortega 准将, そしてTed Villasor Sr. と Rommy Entac です。

歴史再現メンバーは、父親と叔父がどちらもフィリピン・スカウトの第26騎馬隊に所属していた Rudy Cabigas、叔父がフィリピン・スカウトだったRay Ortega、それからフィリピン・スカウトの(アメリカ人)将校の役を務める Louis Cogut Mark Lawrence がいます。Luther Ritter は、スカウトが使用した軍用車や大きい道具を提供してくれます。私たちの支部には約25人の会員がいます。Joe Lopezの叔父は、第200沿岸砲兵部隊の一員としてバターンで戦いました。メンバーの一人 Lawrence Alcazar はイギリスに住んでいます。

フィリピン・スカウトが参加した戦闘を再現することの目的は何ですか。どんなことを達成したいと思われますか。

目的は、フィリピン・スカウトのベテランが払った犠牲を称え、彼らのアメリカとフィリピンへの奉仕の歴史を語り継いでいくことです。それは同時に、マッカーサーの極東軍下のスカウト兵について、小規模ながら観客に見学の機会を提供できる場でもあります。そしてアメリカ人、特にフィリピン系の若い世代に、アメリカ人兵士と共に戦った勇敢なフィリピン兵士がいたことを知ってもらうことでもあります。

フィリピン人には、大変誇れる軍隊の歴史があるのですが、残念なことにそれは忘れられ見落とされているのです。悲しいことに、新しい世代のフィリピン系アメリカ人の若者の多くは、彼らの国の歴史について学校のクラスや本を通して教育されることはありません。フィリピン・スカウトには誇り高い伝統があったのですから、今存命のベテランたちが忘れられることがないよう、そしてまだ彼らが生きているうちに称えられるべきだと思います。戦闘再現は意識を高めるため、また戦時にアメリカのために奉仕したフィリピン人ベテランのベネフィットの問題を助けるためにも、よい場だと思います。

再現に使う軍服や武器は、どこで手に入れたのですか。それらが歴史的に正確であることを期すために、ずいぶんリサーチなさいましたか。

私たちの軍服や武器の多くは、ミリタリーショーや専門店で、そして今は多くが Ebayを通じ、長い間探して収集してきたものです。交換したり、仲間のコレクターやメンバーと共有しているものもあります。なるべくオリジナルのものを入手しようと努めていますが、それが手に入らない場合は、再生品を使います。私たちのリサーチの多くは、ベテランたちに、当時何を着ていたのかどんな武器を使っていたのか直接尋ねることです。そして膨大な情報は、ミリタリー関係の本、そして今はインターネット上で得られます。

私たちは1940年代米軍のユニークな一団を代表しているのですから、再現にあたっては、軍服や軍の規則に至るまでを正確に演じることを重要視します。私たちはまた、フィリピン・スカウトを演じることに関心をもつ誰にでも (香港やイギリスやフィリピンにも仲間がいます)、軍服や武器を入手するアドバイスをしています。

どのくらい頻繁に再演していらっしゃいますか。

私たちは、毎年いつも参加する二つの大きな再現イベントの前に、何週間も計画し準備します。最近の大きなイベントは、2008年10月にカリフォルニア州チノ市で開かれた「歴史を歩く」でしたが、私たちは1900年代から第二次世界大戦の期間部門で、駐屯基地再現で一位となりました。



 
駐屯基地再現で一位
「バターン死の行進」生還者で元スカウトの
Theodore M. Villasor, Sr と
                            (
photo courtesy from Rudy Cabigas through Gil Mislang)

もう一つの大きなイベントは、カリフォルニア州サンペドロ市のマッカーサー要塞で開かれる "Old Fort MacArthur Days” です。それから東海岸に住んでいるメンバーは、そこで開かれる大きな再現イベントに定期的に参加しています。そして去年は、イギリスで開かれたヨーロッパで一番大きい再現イベントの一つで、私たちのメンバーが初めてフィリピン・スカウトを演じました。香港とフィリピンにもグループがあります。

私たちは、独立記念日やフィリピン退役軍人に関連するフィリピン系米国人イベントやパレードには、いつも軍旗衛兵として参加しています。そして今は、フィリピン・スカウト歴史協会の年次総会で、PS軍旗衛兵としてお手伝いしています。今年は、私たちのロサンゼルス支部が初めて、カリフォルニア州ロングビーチ市で開かれるフィリピンスカウト歴史協会設立25周年記念総会を主催します。歴史再現について、そこで発表することになっています。

再現の中に日本兵もいますが、どのような方たちが演じているのですか。

日本兵再現グループはアメリカ中にあって、この南カリフォルニアにも一つあります。彼らは第二次大戦の再現イベントではひっぱりだこです。彼らは日系アメリカ人やアジア系アメリカ人で、私たちのグループのフィリピン系アメリカ人の数人も、第二次大戦時の日本軍の歴史に大変興味をもっています。彼らは、第二次大戦時のイベントで”枢軸国”側の兵を再現する目新しいグループです。

南カリフォルニアには日本人も多く住んでいますが、皆さんの歴史再現を見に来て欲しいと思われますか。再現を見ることを通して、彼らにどんな体験をし、何を学んで欲しいと思われますか。

はい、カリフォルニア州と全米に住む日本人そしてアジア系アメリカ人の新しい若い世代の方々に、彼らのアジアでの遺産が、太平洋地域での悲劇的な出来事の重要な一部であったことに気付き、見て欲しいですね。私たちの再現は、一般の人々に歴史で何が起こったのか垣間見る機会、そして第二次世界大戦の太平洋戦線での最大の海戦・陸戦が、フィリピン島で起こったことを発見し、学ぶ機会を与えているのです。

私たちはとてもよいオンラインフォーラム http://pinoyhistory.proboards22.com/index.cgi を持っていて、メンバーが、再現・フィリピン軍の歴史、特にフィリピン・スカウトに関する膨大な量の情報を掲載し、共有しています。創設者・管理者は、私たちの支部の歴史リサーチャーのVictor Verano です。このフォーラムのメンバーは今では500人もに膨れ上がり、フィリピンの歴史と再現に関する興味を共有し合っています。

今私たちは、フィリピン・スカウトのマニラ支部を設立するためにアドバイスや支援をしています。フィリピンにも、式典などで使う第二次大戦時のジープのコレクションを持っている若い世代の再現グループがいて、彼らもスカウトの伝統を引き継いで行きたがっています。

まだフィリピン・スカウトのベテランが生きているうちに、彼らの払った犠牲が確実に記憶されること、そして彼らの伝統がスカウト歴史協会の次の世代の若者たちに引き継がれていくことが、今なによりも大事なのです。ベテランたちは少なくなり、静かに消えていこうとしています。彼らの物語は、目まぐるしく変わるこの世界にあって、忘れられてはならないのです。
 

* フィリピン・スカウト歴史協会の会員 Donald Plata 氏は現在、スカウトに関するドキュメンタリー "Forgotten Soldiers" を製作中で、再現グループも参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=cJAOqCNQXdc

                                                                                             (interviewed by Kinue Tokudome)