Soldier Slaves: Abandoned by the White House, Courts, and Congress (奴隷にされた兵士たち:ホワイトハウス・法廷・議会から見捨てられて)」 (Naval Institute Press, 2006)著者
ジェームス
パーキンソン氏へのインタビュー

 

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この本では、二次大戦中に日本企業の奴隷にされた米退役軍人たちが、失ったものの回復を求めて起こした戦いと、遠い過去の虐待の様子が、詳細に描かれる。語り主は、彼らの代理人となったジェームス・パーキンソン弁護士である。著名なジャーナリストの協力を得て、パーキンソンは、戦時中の恐ろしい出来事と、法廷・議会公聴会で弁護士・裁判官・上院議員・下院議員が捕虜訴訟の功罪を議論し合う様子―過去と現在―を織り交ぜて綴っていく。その過程で、戦時中の残虐行為に立ちはだかったのは平和時の繁栄であり、彼らの戦いの結果は、軍事力ではなく経済関係への考慮によって決定されることになる。

著者は、彼が代理人を務めた原告の退役軍人― 陸軍航空隊の爆弾修理工ハロルド・プール氏 ―の個人的体験談を用いて、1942年4月のバターン死の行進に始まり、3年半に及んだ強制労働、その後自国政府から強いられた長年の沈黙、そしてその間絶えることの無かった心身の後遺症を、描いていく。読者は、日本軍が加えた残虐行為の実態が明かされ、捕虜たちの補償獲得に向けての努力が繰り広げられる展開に、引き込まれていくであろう。著者は、元捕虜たちが、彼らの労働で利を得た日本企業から未払い賃金を受け取る権利があるかどうかに関しては、議論が分かれることに同意しながらも、彼らの歴史がより広く知られるべきであるという点に関しては、頑として譲らない。オーリン・ハッチとジョー・バイデンの二人の有力上院議員からの支援を得て、彼は多くのアメリカ人に訴える。
 

オーリン・ハッチ、ジョー・バイデン両上院議員が寄せた前書きから

我々は、バターンを死守しようとした兵士たち、そして自由を守るために過大な代償を払った太平洋戦線の捕虜たちを、忘れてはならない。彼らのためだけではなく、我々自身のために。


トム・ブロコー(元NBCアンカーマンでThe Greatest Generationの著者)の推薦文

偉大な勇気と壮絶な苦しみの歴史、そしてそれに引かれたとてつもなく不正義な終幕を描いた、待望のこの著書は、米議会の全てのメンバーに読まれるべきである。この本は、読む者に誇りと怒りを同時に与えるであろう。


本文から

時間が経つにつれて私が認識するようになったのは、これらの男たちの多くが本当に求めているのは、長い年月が流れた後であっても、過去を認め誠意を示す、という二つの行為であるということだった。私が得た顕著な感触は、、もし日本政府と彼らに奴隷労働を強いた企業が率直で心のこもった謝罪をするならば、大多数の原告(元捕虜)はその場ですぐ訴訟を取り下げるであろう、というものだった。

「謝罪があれば、いいよね。」(原告の一人)ハロルド・プール氏が、私の事務所で言った言葉を思い出す。「私は、日本人には何の悪感情も持っていない。全くないよ。でも、起こったことは起こった、そしてそれは正しい行為ではなかったと認めて欲しいんだ。それが二度と起こらないよう、何らかの形で過去の出来事への認識がなされて欲しいんだよ。」(80-81頁

それは直視するのが耐えられないことだった。(敗訴したうえ、アメリカ政府による補償を可能にする議案も潰された)元捕虜たちのことではない。彼らは、どんなことが起こっても大丈夫な人々だ。見るのが辛かったのは、アメリカ政府が捕虜のために何もしようとしないことだった。彼らは、1942年に彼らが置かれた困難な状況に何もしようとしなかったし、1951年(講和条約締結時)にも、何もしようとしなかった。その当時は、何もできなかったのだ。でも今はどうなのか。第二次大戦中に収容された日系人のために1,250億円を拠出することができた国、200万人近い民間人奴隷労働者が8,000億円の補償金を得られるよう、ホロコースト訴訟には介入しなかった国、イラク戦争に何億ドルもつぎ込んでいる国、そんな国なら、フィリピンにおけるアラモの砦を守って最後まで戦い抜き、戦争が終結するや国の利益のために個人の請求権を剥奪された捕虜たちを称え、ささやかな象徴的補償をすることが当然できるはずだ。(234頁)
 

著者 ジェームス W.パーキンソン氏へのインタビュー
 

なぜこの本を書きたいと思われたのですか。

初めて(フィリピンで日本軍の捕虜になった)第20迫撃中隊の男たちに会ったとき、彼らの代理人になり、自分の能力の限りを尽くして、彼らの訴訟のために働きたいと思いました。訴訟が起こされ、彼らの人となりをさらに知り、訴訟をさらに理解した私は、裁判の結果がどのようなものであれ、これ らの男たちの物語は語られなければならないと、決心したのです。

アメリカ人は、第二次大戦中に起こった事実に関して、真実を知る必要があります。また人々は、こられの兵士たちが帰還したとき何が起こったのか、そして法廷・議会・ブッシュ政権が彼らをどのように扱ったかに関して、真実を知る必要があるのです。

元捕虜の対日本企業強制労働が棄却されたことで、どのような問題が解決されないまま残ったと、思われますか。

米兵を奴隷労働者として扱った日本企業は、その事実を一度も認めていませんし、公式な謝罪をした会社は一社もありません。これらの会社は、それをしなかったことを後悔すると思います。そうすることが倫理的に正しいからだけではなく、私の著書が広く読まれ、映画化されることになれば、それらの会社の広報活動にとって最悪の事態となるからです。

率直な謝罪をし、何が起こったのかを認めることは、大きな第一歩です。日本企業はそれをすべきです。ブッシュ政権は、自分たちが、これらの偉大なアメリカの英雄のために何もしなかったことを、後悔すると思います。一般のアメリカ人が私の著書を読み、捕虜が日本の私企業を訴えた訴訟が条約によって退けられたことを知ったら、アメリカ政府がその問題を解決するために何もしなかったことに、大憤慨するでしょう。法廷が決定したような条約の解釈では、元捕虜の提訴する権利の剥奪は、明らかに憲法違反だからです。

トム・ブロコー(数年前に全米ベストセラーとなった、第二次世界大戦世代を称える「The Greatest Generation」の著者)は、あなたの著書に寄せた推薦文で「この本は、読む者に誇りと怒りを同時に与えるであろう。」と書いています。正義を取り戻そうとした元捕虜たちの努力に、被告日本企業・日本政府・アメリカ政府がいかに抵抗したかを知ったアメリカ人は、本当に怒ると思いますか。

ええ、きっと怒ります。残念なことに、これらのアメリカの英雄に起こったことに関する真実は、これまで全く隠されてきたのです。私の著書が読まれて、アメリカ人が日本政府とアメリカ政府がしたことの全貌を理解したなら、彼らは憤慨すると思います。日本企業が、起こったことを認めることさえ拒否している態度にも、少なからぬ悪反応があるでしょう。

9・11テロ攻撃の後、3人の元駐日米国大使を含み、「現在の良好な日米関係を維持することの方が、戦時中の捕虜強制労働の問題を蒸し返すことよりも、重要である」といった主張をするかに見える人々もいました。今日現在、アメリカ人はそのように感じていると思われますか。

いいえ。 訴訟は、決して日本人に対するものでも、日本政府に対するものでもありませんでした。訴訟は、第二次大戦中に奴隷労働から利益を得た、日本企業に対するものだったのです。日本を訴えることと、企業を訴えることには、根本的な違いがあります。言うまでも無く、アメリカの誰もが、日本とよい関係を持ちたいと思っています。日本は私たちの同盟国であり、素晴らしい貿易相手です。そうではあっても、日本企業が犯した間違った行為は、認められなければならないのです。

あなたがこの本を書かれてから、状況は変わったと思われますか。

この本が書かれ出版されてから、アメリカは、イラクでの大規模な戦争に突き進んでいきました。イラクでしたことに関して、ブッシュ政権は非常に不評を買っています。現在まだ答が出ていない問いは、兵士たちがイラク戦争から帰還した時、ブッシュ政権が彼らをどのように扱うのかということです。政権は、イラク戦争から戻った兵士たちを、第二次大戦の退役軍人を扱ったような無礼な態度で扱うのでしょうか。この問題については、ブッシュ政権はかなり慎重に取り組む必要があると思います。先ず第一に、政権が戦場から帰ってきた兵士を手厚く世話しないことは、倫理的に許されないことです。これは、最近の戦争から帰った兵士にも、60年前の戦争から帰った兵士にも、同じように言えることです。

今からでも元捕虜のためにできること、またすべきことは、何でしょうか。生存する元日本軍捕虜は、数千人だと聞いているのですが。

最近、フロリダ州選出のジョン・ミカ下院議員が、バターン死の行進の生還者に補償する法案を提出しました。それが、(全ての元日本軍捕虜に補償する)ハッチ・バイデン法案の再提出に、繋がる可能性はあります。そのような法案への支持も、あるようです。でも不運なことに、時間がもうあまり残されていないのです。生存する元捕虜の数は僅かですし、こうしている間にも、彼らは毎日死んでいきます。明らかに、時間との戦いなのです。

(インタビュアー:徳留絹枝)